配信でも言った通り一昨日映画を見に行った。母親が三日前に予約を取り席は一番後ろにした。開演2時間前くらいに家を出た。久しぶりに人が多いところに赴いた気がする。
新年明けてから元日とその前日、前々日と散歩配信したし、外には慣れているつもりでいた。今思えば前兆だったのか、電車内でふと「こんなに沢山の人をみるのは久しぶりだ」と思った。それどころか出かける前まで配信をしていたので寝てないし、背中も痛かった。
映画館に着いてまずチケットを発券。久しぶりの映画館での鑑賞。いつ以来であろうか、2年以上前になるか。君の名は以来になる。
やはりこの映画館特有の照明は慣れない。むあっとした熱気のようなものにさらに温かみのあるオレンジの暗めの照明。
平日ということもあって混雑しているわけでもなかった。
結構ギリギリの電車に乗ったがどうやら映画は上映10分前から入場可能になるらしく、入場する前に近場のコンビニでサンドウィッチと午後の紅茶、かまぼこ、ささみ、焼き鳥を買った。
入場は意外とあっさりだった、
券を確認するスタッフの人が可愛かった。
スクリーンは一番奥。
俺らは最後の最後だったらしく、みんな席についていた。
階段を上がるたびに背もたれに寄りかかっている人たちの顔が見え、今まで引きこもっていた俺には場違いなところだと自覚した。
一番上に行けばいいだけだから止まることはしなかった。
上についたら通行路のすぐ隣で人の前を通ることがなかったので安心した。
席に着いてまず思ったことがある。
背もたれがくぼんでいる。正確には頭のところにクッションが付いているだけだが。
これに半年近く家の小さな椅子ばかりの上で過ごしてきた俺は大きな違和感を覚えた。
そのため背中に上着を挟み込み背もたれのくぼみをなくした。
これもむしろしてはいけないことだったのかもしれない。
上映前に午後ティーとかまぼこ、焼き鳥を食した。
寝ずに来たので体力が心配だったため最低限何かしら口にしたかった。
自分自身ではリラックスしていた。
しかし体はリラックスできていなかったのだろう。
照明が消え上映が近づいているのに隣の学生が騒がしいことに気づく。
立ち上がってスマホのライトを使って何か探しているようだ。
どうやらスマホを落としたらしい^^;
隣に落ちてたので母親が拾ってあげた。
一番後ろだったのでそこまでの緊張感、スクリーンが迫ってくるような感覚はなかった。
しかしやはり音響がうるさい。この音響の振動が俺の心臓と共鳴し徐々に俺の体を蝕んでいく。
上映が始まってから謎の不安感が出てきた。音響の影響で座席に縛られたような感覚。それにあと2時間もこの状態でいなくてはいけないのかという不安。
体が固定されて身動きが取れないため体がなまってくる。
リンパの流れが悪いという感覚が伝わる。しかし体を動かすことが中々できない。
しばらく映画を普通に見ていたが1時間程度たってくらいからか、
「やばい、またあれだ。」
その感覚は小中と合唱コンクールでの練習中に貧血になったとき同じ。
体がだるくなっていき、視界が徐々に白くなっていく。
寝不足と外に全然出ていなかったというコンディションの悪さから正常に戻ることはできなかった。気分が悪くなっていく中でなぜこうなっているのかを考えていた。
過去にも2度ほど映画を見ている中、気分が悪くなったことがある。
もうだいぶ前の話だが今回は過去最高に気持ち悪くなった。
どうやら俺は映画館と言う暗闇で大きなスクリーン、音響、そして身動きが取れない束縛されたかのような状況で精神が乱れるのではないかという考察ができた。
一番大きい要素は音響だろう。
それで交感神経が過剰に反応し常に緊張した状況になってしまうのだろう。
何とかこの状況から抜け出すために足を小刻みに動かすもその程度じゃ治らない。
吐き気も催してきた。
「もうだめだ、外に出よう。」
そう何度も思ったがここで立ったら映画を見ている人に迷惑が掛かると思って動けなかった。
いやそれは言い訳だ、コミュ障特有のただ目立つ行動がしたくないだけだ。
人のためという言い訳で実際は自分を守っている。
実際この映画で外に出ていた客はいたしそれをいちいち気にする人なんていない。
悩んでいる間にも気持ち悪さは増してきた。
これを改善する方法で外に出るという選択肢を自ら無くした俺は「寝てるふり」をするのが精いっぱいだった。
身動きが取れない席の中で頭を下げて目を閉じるという行為を決断するにも俺には労力を要した。
なぜならば映画を見るためにいる映画館内で下を向くなんて明らかに目的から逸脱した行為だからだ。
しかし自分は寝てない。
目を閉じたら少し落ち着いてきたような感覚があったがそれは映画館内での音響と暗闇の中での明るさで麻痺して分からない。
確かに視覚情報が無くなれば落ち着く。
だがもう手遅れだった。
いきなり強烈なめまいとだるさが訪れ、冷や汗が止まらなくなった。
冷や汗なんてほとんどかいたことがない、人前に出ることが少ないからだ。
いつぶりだろう。1年次のパワポ発表以来か。
その時は周りからは分からない程度だったと思うが、今回は何か発作でも起きたようなレベルだった。
下を向いて目を閉じることを覚えた俺はそうなってもできることは手すりに頬杖をついて苦しむのを我慢するだけだった。
勿論映画どころではない。
汗は顔中に現れ、鼻から3滴ほど滴り落ちた。
異変に気付いた隣の母親が「寝てるの?」と聞いてきたので俺はすかさずその手をとり自分の顔につけた。
回りくどいやりかただがとてもじゃないが言葉を発するなんてことはできなかった。
母「どうしたの!?熱でも出た?外行く?」
俺は先ほども言った通り外に出たいが出れない。何よりこれこそ人に迷惑をかけてしまう。
いい年になって映画館で体調不良になり親に引き連れられ外に出る、そんなことはできるわけがない、それに母親が見たかった映画なのに俺のせいで見れない場面が出るのも許せなかった。
俺は首を横に振った。
母「飲み物のむ?」
そう言って午後ティーを手すりの飲み物入れのとこから渡してくれてた。
そこでようやく俺は午後ティーを映画の上映中に飲む口実が出来たのである。
人に苦痛を認識してもらうと心が軽くなるものである。
そこから幾度か母に心配され自分の緑茶も飲むか、外で休むかと提案されたが治っていったので全部拒否した。勿論具合が最悪でも拒否していただろう。
そこからというと俺は頬杖を付いたまま映画を見続けた。
一回発作を起こしてしまえばそこからは下り坂である。
映画が終わり館内から出るのは一番最後だった。
その後は買い物と食事をして帰った。
家に帰ってきて今回のことを調べた。
Twitterでは貧血と書いたが他に言葉が思い浮かばなかったためだ。座っているのに貧血はおかしいからだ。
調べてみたらやはり出た。パニック障害、パニック発作、低血糖。
パニック発作は誰にでも起こるものだがそれが多くなると障害となる。そのため何回か起こしている俺はパニック障害持ちなのか・・・?と思ったが数回なのでないだろう。
低血糖も鑑賞前に少し食事をしたのであるかもしれない。
ただこの経験で精神障害を持っている人の気持ちが分かった。
あれは精神論では語れない、自分自身では平気だと思ってても体が反応しているんだから。
俺は精神障碍者なんだろうか・・・